「働く」ことを軸に障害者のノーマライゼーションを目指す
大阪府箕面市稲1丁目11番2号

福子のチャレンジ②

当事業団の喫茶るうぷで、32年間勤務している森岡さん。

当初はてんかん発作があり、通勤途上で発作を起こし、救急車で運ばれることもありました。

しかし今では発作はほぼなくなり、毎日元気に勤務しています。

森岡さんは、実家を出たあと、※1通勤寮※2グループホーム住まいを経て、現在は自活されています。

グループホームでは仲間と一緒に暮らすことで、賑やかで楽しい反面、人間関係で悩むこともあったようです。
現在は、友だちとはたまに会う程度ですが、「さみしい」よりも「自分の生活を楽しもう」という気持ちのほうが強いようです。
緊急事態宣言などでお店が休みになり在宅が続いた時も、職員からの定期的な電話連絡に、淡々と対応していました。

そんな彼女に、今回は生活面のことについて質問に答えてもらいました。

◆仕事がお休みの日の過ごし方
「家でゆっくりする。ふだん出来ないことをする。時々買い物にも行く。
今年のゴールデンウィークは、ぬいぐるみ(くま)の『夢』と『天使』の着物を作った」

コロナ禍で自由に外出が出来ない中、ぬいぐるみは、ここ1年程で集め始めたようで、
『風花(ふうか)』や『竹之助(たけのすけ)』など他にも居るそうです。
始めは、職場近くのリサイクルショップでぬいぐるみに合うサイズの子供服を買って着せ替えを楽しんでいましたが、
今はぬいぐるみ全員に着物を着せていて、特に『夢』と『天使』には、手作りした着物を着せているそうです。
このぬいぐるみに、職場での出来事や愚痴を話しかけることで、気持ちの整理が出来ることもあるようです。

また、森岡さんは以前はよく旅行に出かけていて、これまで色んな国へヘルパーさんと一緒に出かけています。

今回、海外旅行に行くきっかけになったかもしれないエピソードも聞くことができました。

以前、喫茶るうぷメイプルホール店で勤務していた頃、たまたまホールにいると、外国人のお客さんが来店して、
日本語で「サラダはありますか」と聞かれたそうです。
英語が話せない森岡さんは焦ってしまいますが、とっさに「サラダ、ノー」と伝えると、意味が通じたそうです。
この時のことはずいぶん自信になったようで、このエピソードが後々海外旅行に行こうと思うようになるきっかけになったのかもしれません。

生活をしていく上では、地域とのつながりは欠かせませんが、今のような生活を始めて3年後から、
自ら希望して自治会に加入し、地域とのつながりをしっかりと持ち、そこから情報の収集が出来ているようです。

そして何よりも支えになっているのは、職場の同僚が時間がある時は生活面での相談にものってくれ、
その中で気になることがあった場合は職員間で共有しながら、対処してくれていることだそうです。

 

※1 就労している知的障害者に対して、居室及び日常生活に必要な設備を提供して、独立自活に必要なアドバイス、
指導などを行う施設です。旧法(障害者自立支援法)に基づくサービスで、今はありません。
※2 知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフまたはヘルパーの支援のもと、集団で生活を行う家のこと。