「働く」ことを軸に障害者のノーマライゼーションを目指す
大阪府箕面市稲1丁目11番2号

ともに働く現場から④ 「タブレットの利用時間と昼寝」

グループホームで暮らすGさんは、タブレットで動画を観たり、ゲームをしたりするのが趣味のひとつです。
しかし、タブレットを使っていると、どうしても時間を忘れ熱中して就寝が遅くなり、
結果、翌日の仕事に遅刻してしまうことがありました。その遅刻を減らすために、
グループホームと職場で取り組んだことについて、お話ししたいと思います。

Gさんは、勤続30年近くになる50歳代の職員です。重度の知的障害があるものの、
休みの日には交通機関を使って、色んな場所へ出かけるのを楽しみにしています。
また、興味があるものは多彩で、行動力もあるので、余暇をアクティブに楽しむために、仕事を頑張っているような人です。

そんなGさんが、グループホームでインターネットを楽しむために、タブレットを使うようになったのはもう何年も前のことでした。
グループホームで過ごす時に、映画を観たり、ゲームをしたりして楽しんでいたのですが、その頃から徐々に寝不足な様子が増え、
職場で時々イライラしてしまったり、仕事に遅刻したりするようになっていました。

遅刻をした時は、職場で同僚と一緒に遅刻の原因を考えました。
タブレットを遅い時間まで使っていたことが原因ではないか、ということになったので、寝る時間を具体的に「○○時」と決めて、
決めた時間までには、タブレットを使うのをやめて布団に入って眠ることを約束しました。
また、遅刻したことについてGさんは、職場に迷惑をかけた事を申し訳なく思い、朝礼で同僚達へ謝ったり、
自ら進んで洗濯の当番を引き受けたりして、遅刻した事を反省しているようでした。
ところが、しばらくすると、また遅刻をしてしまうので、事情を聞くと、遅い時間までタブレットを使っていたことが原因という事がほとんどで、
その後も同じ事を繰り返してしまうのです。
また、寝不足が原因なのか、作業中に思うように作業が出来ない自分にイライラするようで、
大声を出したり、自分で自分の腕や顔をたたく自傷行為をしたりするようにまでなっていました。

そこで、グループホームの担当者がGさんと話し合い、タブレットの使い方のルールを一緒に決めることになりました。
その結果、タブレットを使う時間を、仕事のある日は、夕食後の午後7時頃から午後9時までと決め、
それ以外の時間は、グループホームの世話人にタブレットを預けることにしたのです。
これには、遅刻をしてしまうことに自分でも困っていたGさんは、勿論同意して、その後はルールを守ってタブレットを使うようになりました。

また、職場でも、寝不足を少しでも解消出来ないかと考えました。
Gさんが働く職場には、食堂の中に畳敷きの休憩スペースがあるので、昼休みにここで、食後に15分ほどの短時間ではあるものの、
体を横にして、昼寝をしてみることになりました。
実際に昼寝をしてみたGさんは、体を休めることが出来て、気分もリフレッシュするようで、
自分から毎日横になって昼寝をするようになりました。

このような取り組みを続けている現在、仕事に遅刻することが全く無くなった訳ではありませんが、遅刻の回数は以前に比べると減りました。
遅刻が無くならないのは、また別の原因もわかってきました。ただ、職場で作業中にイライラして自分を叩いてしまう自傷行為を行うことは無くなりました。

そしてGさんは、今後、コロナ禍以前のように、自由に外出が出来るようになる日を楽しみに、日々の作業に取り組んでいて、
定年までは働き続けたいと、希望を持っているようです。