Ⅰ 総括事項
一般財団法人箕面市障害者事業団(以下「本事業団」という。)は、障害者の職業的、社会的自立を促進するとともに、事業を通して基本的人権の尊重と市民文化の高揚を図り、もって市民福祉の向上に寄与することを目的として設立された公益法人です。
令和5年度の本事業団は、新たに策定した中期運営計画に沿って、各事業が安定的に運営できるよう、収支改善に向けた取り組みをすすめました。
以下に、令和5年度事業計画において重点項目に位置付けた3項目について、総括します。
➀円滑な事業開始と安定運営に向けた基礎固め
リサイクル事業、ビルメンテナンス事業と一体的に運営するために新たに「環境クリーンセンター事務所」を設置し、柔軟な人員体制を整備しました。また、環境整備事業の経験や知識を有する箕面市OB人材を採用し、より安全な作業環境の整備、作業手法の構築を図りました。
➁重度障害者の職域拡大と人材の確保
事業開始にあわせ、メーカーの開発協力を得て、スプレー缶を安全に処理できる装置を導入しました。その装置を活用した職場実習と、作業の細分化による業務の切り出しを行い、重度障害者が安全に作業できる環境を整備しました。結果、令和5年7月、新たに2名の1号職員を採用することができました。また、ペットボトル減容業務での職場実習を通年で実施し、市内障害者事業へのワークシェアに向けた検証も行いました。
今後も、事業主体である箕面市、委託元である荏原環境プラントと連携し、安全第一で円滑な事業運営に努めることはもちろん、重度障害者の職域拡大を図るための取り組みを継続していきます。
➀箕面市障害者雇用支援センターの取り組み強化
事業団ホームページを活用した積極的な情報発信と、関係機関と連携し地域の支援ニーズの掘り起こしに努めました。就労継続支援B型事業においては、中期運営計画の目標を上回る利用に繋がり、就労定着支援事業においても、目標の約2倍の利用実績となりました。また、就労移行支援事業においては、企業就労への送り出しを着実に実施しました。あわせて、利用ニーズに沿った支援メニューの検討を行い、新たな訓練環境の整備に向けた準備をすすめました。
➁「優先調達事業等調整会議」を通した関係機関との連携強化
「優先調達事業等調整会議」を開催し、環境クリーンセンター事業のペットボトル選別作業のワークシェア実施に向けた調整をすすめました。また、箕面市からの優先調達制度を活用した物品調達の調整を行い、市内障害者事業所の収益向上に繋げました。
今後も、多様化する地域ニーズの把握に努め、本事業団ならではの取り組みについて、検討を重ねつつ着実に実施していきます。
➀人事制度の再整備
1号職員の定年後の継続雇用制度について、職員個々の状況にあった運用ができるよう、関係規定の整備を行いました。また、制度改正3年後の見直し時期にあたる2号職員の給与制度についても、この間の運用状況と社会情勢を踏まえた検証を行い、一部見直しを行いました。臨時職員については、令和5年4月に業務内容に応じた給与単価の改定を実施し、人材確保と定着に努めました。
➁管理部門の業務最適化
各拠点にIC型タイムレコーダーを設置し、給与計算の電子化を図りました。また、給与計算システムと会計システムの更新時期にあたり、機器の更新により事務のさらなる効率化を図りました。
➂中期運営計画の進捗管理
毎月実施している事務局会議において、各事業の実施状況を適宜共有し、四半期ごとに収支も含めた確認を行い、中期運営計画の着実な履行を図りました。
上記以外の各種取り組みとあわせ、本年度の当期収支差額は294万円の黒字となり、前年度に引き続き積立金の取り崩しを行いませんでした。次年度以降も中期運営計画に沿って、安定運営に向けた取り組みを着実に実施していきます。
以上のとおり、本事業団設立当初からの目的である地域社会におけるノーマライゼーションを推進するため、本年度も職員が一丸となって、組織基盤の強化に取り組んできました。
この歩みを止めることなく、次年度以降も各事業を着実に実施していきます。
Ⅱ 事業関係事項
令和5年度の事業計画に基づき、以下のとおり各事業を実施いたしました。
(1)障害者の雇用促進を図るための調査研究及び相談支援
ア.調査研究
ホームページに障害者職員の仕事や暮らしぶりを紹介するブログ(ヒロシのつぶやき)を定期的に掲載し、障害者職員の日常生活等を通し、当該職員の想いを発信しています。時折「俳句」を詠んでいます。一読してみてください。
イ.相談支援
本事業団は、「障害者雇用促進法」や「障害者総合支援法」、「児童福祉法」に基づく大阪府知事、箕面市長の指定を受け、相談事業を実施しています。これらに加え、事業団独自の取り組みとして、市民からの「相談」も本部事務所において、随時、対応しています。
また、「働く体験の機会」を提供する職場実習についても、市内障害者事業所等との連携のもと、21名の実習生に対し、合計228日間実施しました。
(2)障害者の職域拡大を図るための助成事業及び職種開拓育成事業
ア.アートショップ「グリーンるうぷ」運営事業
豊能障害者労働センターが運営する「福祉ショップゆっくり」の店舗スペースとして活用しました。
イ.障害者雇用助成事業
箕面市の補助金を得て、本事業団の職種開拓育成事業の適用を受けた3事業所に対し助成を行いました。
豊能障害者労働センター
障害者の働くパンハウスワークランド
箕面市障害者共働事業所たんぽぽ
ウ.職種開拓育成事業
本事業団職種開拓育成事業実施要綱に基づき、自主的に職種開拓事業を実施する市内障害者事業所に対し、本事業団独自の支援を行いました。
エ.その他のパイロット事業
a)図書館資料修理等業務
箕面市内の福祉施設等の収益や工賃向上を目的に、本事業団が「調整役」となり箕面市教育委員会から業務を受託し、市内2事業所へシェアしています。内容的には、合計2,850冊の補修、1,250冊のカバー装着、3,000冊の貸出管理用ICタグを再利用するための切り取り作業を、それぞれ円滑に実施できるよう調整しました。
b)みのおライフプラザ清掃業務
箕面市内の福祉施設等の工賃向上を目的に、「みのおライフプラザ」の事務所フロアを中心とした「ごみ回収作業」の一部を本事業団が受託し、市内3事業所にシェアし、通年で239日間実施しました。
c)資源ごみ回収業務
重度障害者の職域拡大を目的に、市内の公共施設に限定した資源ごみの回収事業を通年で実施しました。51施設から排出された資源ごみ、新聞紙4,050kg、雑誌74,990kg、ダンボール70,850kg、紙パック7,330kgの合計157,220kg(2t収集車約79台分)を回収しました。
d)環境クリーンセンター事業
令和5年4月より、箕面市環境クリーンセンターにおいて受入対応等業務を受託し、市民等が搬入する廃棄物の受け入れや手数料の精算、再資源化のための分別、ペットボトルの減容などの業務を、新たに採用した2名の障害者職員を中心に職員が一丸となって実施しました。対象処理物8,446tの受け入れ、分別作業を行った結果、ペットボトル263t、ダンボール110t、新聞古紙94tなど合計2,199t(搬入量の約26%)の再資源化に繋げました。
また、ペットボトル選別業務の市内障害者事業所へのワークシェアの実施可否を検証するため、障害者雇用支援センターと連携した試行事業を通年で実施しました。あわせて、事業のスケールメリットを最大限に活かせるよう、作業を細分化しながら重度障害者が担える業務の検討をすすめました。
e)その他のパイロット事業
上記のaからdの取り組み以外にも、『優先調達事業等調整会議』を1回開催し、重度障害者の職域拡大につながる取り組みとして、令和6年度から環境クリーンセンター事業でペットボトル選別業務のワークシェアを開始するために、市内障害者事業所との調整を行いました。
(3)障害者理解を深めるための啓発活動
ア.障害者福祉啓発講座
箕面市からの受託事業として、広く市民を対象とした啓発講座を年間3回開催し、合計140名の参加がありました。
前年度に引き続き、多くの市民が安心して参加できるよう、来場者の間隔を確保できる会場で基本的な感染対策を講じての開催や、Zoomによるオンライン同時配信も行いました。
なお、各講座の開催実施結果は次表のとおりです。
| 全体テーマ:「ふくしの航海日記 西宮編 東大阪編 泉州編」 | ||
|---|---|---|
| 1回目 | 日時 | 令和5年(2023年)12月7日(木) 午後2時30分から午後4時30分 |
| 場所 | 箕面文化・交流センター大会議室 | |
| テーマ | 『真の共生社会を創出しよう!~障害者差別解消法をふまえて~』 | |
| 講師 | 北野 誠一 氏 社会福祉法人 西宮市社会福祉協議会 共生のまちづくり研究・研修所 所長 | |
| 参加者 | 53名 | |
| 2回目 | 日時 | 令和6年(2024年)2月5日(月) 午後2時30分から午後4時30分 |
| 場所 | 箕面文化・交流センター大会議室 | |
| テーマ | 『知的障害をもつ人たちの情報発信基地「パンジ―メディア」とは』 | |
| 講師 | 林 淑美 氏 社会福祉法人創思苑 理事長 小川 道幸 氏 パンジーメディア チーフプロデューサー 山田 浩 氏 パンジーメディア 中山 千秋 氏 パンジーメディア |
|
| 参加者 | 32名 | |
| 3回目 | 日時 | 令和6年(2024年)3月4日(月) 午後2時00分から午後4時30分 |
| 場所 | 箕面文化・交流センター大会議室 | |
| テーマ | 『障害がある人が置かれている現状~諦めの人生から抜け出せ!』 | |
| 講師 | 三井 孝夫 氏 NPO法人自立生活センター・リアライズ 会長 辻田 奈々子 氏 NPO法人自立生活センター・リアライズ 理事長 |
|
| 参加者 | 55名 | |
イ.ホームページ等による情報発信
財務諸表等の公表や本事業団の活動を紹介する情報ツールとして活用しています。
また、重度障害者職員が当事者目線で感じたことを自らブログ記事にし、定期的に発信しています。加えて、各事業からの情報発信にも積極的に活用しています。
また、本事業団の近況を端的にまとめた「事業団ニュース」を作成し、関係機関に送付しました。
(4)障害者の就労の場の確保及び実習を通じた職域拡大を図るための受託事業
ア.緑化推進事業
a)箕面市都市公園花壇管理等事業
箕面市から委託された箕面市内の公園花壇やプランター、街路樹枡等の花壇管理を障害者職員を中心に行いました。ここ3年間の実績は以下のとおりです。
なお、緑化事業の各現場で共通して言えることですが、通りがかった市民の皆さんから「ご苦労さま、ありがとう」と声をかけていただくことで、元気に業務を行うことができました。
| 花壇の植栽を含む管理業務 | 街路樹枡等の除草箇所 | 市内全域合計 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 西部地域 | 中部地域 | 東部地域 | |||
| 令和3年度 | 19箇所 11,580本 |
21箇所 22,377本 |
11箇所 8,331本 |
19箇所 | 70箇所 42,288本 |
| 令和4年度 | 18箇所 14,428本 |
24箇所 20,497本 |
13箇所 11,745本 |
16箇所 | 71箇所 46,670本 |
| 令和5年度 | 17箇所 15,240本 |
22箇所 19,428本 |
14箇所 12,045本 |
13箇所 | 66箇所 46,713本 |
公園花壇管理では、体力に合わせて工程を工夫した多様な作業を行いました。夏場の酷暑下での屋外作業は、従事する障害者職員の体調や作業時の安全確保には最大限の注意を払いつつ業務を遂行しました。
b)公共施設内緑化推進事業
箕面市内の公共施設内に設置されている花壇に合計19,200本の花苗の植栽及び敷地内の除草や屋内清掃、芝の管理を障害者職員を中心に行いました。あわせて、観葉植物の入替え作業を5件、合計60回行いました。
なお、令和6年3月末、本事業団設立当初から活躍してきた障害者職員1名が定年退職を迎えました。
c)その他の緑化推進事業
箕面市内の民間事業所の観葉植物の入替え作業を12件、合計131回行いました。
イ.リサイクル事業
箕面市立リサイクルセンターにおいて資源ごみ選別業務を受託し、障害者職員を中心に職員が一丸となって処理を行いました。
なお、ここ3年間の実績は次表のとおりです。
| 空きびん | 空きかん | 全体での再資源化率 | ||
|---|---|---|---|---|
| アルミ | 鉄 | |||
| 令和3年度 | 809.14t (82.5万本) |
165.26t (1,102万本) |
93.39t (311万本) |
94.8% |
| 令和4年度 | 667.05t (68.1万本) |
159.02t (1,060万本) |
92.96t (310万本) |
90.6% |
| 令和5年度 | 720.77t (73.5万本) |
152.36t (1,016万本) |
90.10t (300万本) |
96.0% |
ウ.ビルメンテナンス事業
箕面市立リサイクルセンターにおけて清掃業務を受託し、障害者職員を中心に実施しました。
(5)障害者の一般企業等での就労と、地域での生活を支えるための相談支援事業
ア.豊能北障害者就業・生活支援センター
就業面の支援と、就業に伴う生活面の支援を実施しました。新たに37名の登録があり、登録者は昨年度から10名増えて622名になりました。来所、企業現場や関係機関への出張、電話等での相談など4,055件の支援を行い、新規の就職43件、職場実習のあっせんは51件、年度末時点の登録者のうち、企業等で働いている人は、24名増えて390名となっています。
ここ3年間の実績は次表のとおりです。(登録者数、企業等での就労者数は各年度末)
| 登録者数 | 新規就職者数 | 企業等での就労者数 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 606名 | 25名 | 328名 | ||
| 令和4年度 | 612名 | 36名 | 366名 | ||
| 令和5年度 | 622名 | 37名 | 390名 |
| 実施日数 | 延べ利用者数 | 一日平均 利用者数 |
就職者数 | 定員 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 240日 | 2,360人日 | 9.8名/日 | 6名 | 12名/td> |
| 令和4年度 | 241日 | 2,894人日 | 11.9名/日 | 10名 | 12名/td> |
| 令和5年度 | 240日 | 2,098人日 | 8.7名/日 | 7名 | 12名 |
b)就労継続支援B型事業(定員10名)
関係機関への積極的なPR活動の成果として、年度末までに新たに2名と契約するなど、徐々に利用者が増えています。通年では240日、延べ1,798人名の利用がありました。喫茶るうぷメイプルホール店を活用した接客等の店舗業務、調理や買い物等の社会体験を、就労移行支援事業の利用に向けたステップアッププログラムとして実施しています。
c)就労定着支援事業
本年度は、16名に対して合計137件の支援を行いました。今後、法令で定められた就職後3年6か月の支援期限に達した人に対しては、「障害者就業・生活支援センター」に引き継ぐなど、切れ目のない定着支援を行っていきます。
ウ.特定相談支援事業、障害児相談支援(相談るうぷ)
サービス等利用計画(障害児支援利用計画)の作成ほか、福祉サービスの利用状況の確認(モニタリング)などの相談支援を行いました。契約者は2名減り33名(うち児童8名)になりました。訪問や来所による相談を年間で189件、また、電話や見学同行、その他の支援を1,370件、合計1,559件行いました。
相談にあたっては、関係機関との連携のもと、サービス担当者会議を開催するほか、本人中心のチームづくりを構成して向き合っています。
(6)本事業団の目的達成に必要な財源を確保するための収益事業
ア.喫茶店運営事業
「みのおライフプラザ」内で障害者職員を中心に年間243日間、喫茶店舗を営業しました。お客さまに安心して利用してもらえる店舗運営を心がけました。
また、期間限定メニューの提供や各種イベントを開催し、サービス向上や新規顧客の獲得にも取り組むとともに、令和5年7月には障害者職員1名を採用しました。
令和6年3月末、本事業団設立前の「モデル事業推進協会」時代から「喫茶るうぷメイプルホール店」で働いていた障害者職員1名が定年退職を迎えました。勤続33年10か月。なお、定年後も「継続雇用職員」として活躍される予定です。
イ.自動販売機設置管理事業
市内公共施設等に自動販売機を設置し、常設機が合計81台で956箇月、市民プール等期間限定での設置機が合計3台で12箇月、それぞれ飲料販売会社との連携のもと販売管理を行いました。あわせて、関係先と調整を行い、新たに7台を設置しました。
(7)法人管理部門
「中期運営計画」の進捗管理など、法人全体にまたがる業務について、各事業と連携して行いました。
*本事業団賛助会員の状況
本事業団の賛助会員として広く協力を依頼し、個人会員、団体会員より以下のとおり会費を受領しました。心からお礼申し上げます。会員の皆様には、今後も継続的なご協力をお願いいたします。
なお、ここ3年間の実績は次表のとおりです。
| 個人会員 (1口500円) |
団体会員 (1口3,000円) |
|
|---|---|---|
| 令和3年度 | 41件 205口 | 16件 55口 |
| 令和4年度 | 42件 208口 | 16件 55口 |
| 令和5年度 | 39件 211口 | 17件 56口 |