「働く」ことを軸に障害者のノーマライゼーションを目指す
大阪府箕面市稲1丁目11番2号

令和3年度(2021年度)一般財団法人箕面市障害者事業団 事業計画

 平成2年(1990年)に事業を開始した箕面市障害者事業団(以下、「本事業団」という。)は、昨年度に設立30周年の節目を迎え、新たなスタートを切りました。これまでの活動を通して、「労働の対価として収入を得て地域での自立した生活を営む喜び」を障害者職員と共有してきました。今後も障害者への就労支援制度の拡がりや市民の皆さまの後押しを受け、関係機関との連携を深めながら障害者が地域で働き続けられることにこだわった実践を追究していきます。
 なお、本計画の策定段階では、昨年から蔓延している新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況にあり、障害者就労への影響も少なくありません。こうした状況も踏まえ、本事業団としては十分な感染対策を講じるとともに、臨機応変な支援を心がけていきます。
箕面市並びに関係機関の皆さまには、引き続き、本計画に基づく事業活動の実施にあたり、変わりないご支援、ご協力をいただきますようお願いいたします。

  1. 令和3年度(2021年度)基本方針
  2. 新年度に本事業団が取り組むべき基本方針を、次のとおり定めました。

    1. 財政基盤の再構築
       前年度は、本事業団が運営する箕面市障害者雇用支援センター(以下、「雇用支援センター」という。)において、コロナ禍の影響による利用控えが続いたことなどにより、大幅な減収となりました。そのため、積立資産を多く取り崩すことで法人収支の均衡を何とか保っているのが実情です。また、近年は財政状況が悪化の傾向をたどっていることから、新年度より2号職員の給与削減を実施するなど、財政基盤の再構築に向けて職員一丸となって取り組んでいきます。
      なお、財政健全化の取り組みは複数年度に亘って計画的に遂行していくものですが、増収及び経費削減につながる取り組みについては、迅速かつ機動的にすすめていきます。
    2. 重度障害者の働く場づくりの取り組みの継続

       重度障害者の働く場づくりは、設立当初から取り組んでいる本事業団の原点です。今後も働く場づくりの取り組みを継続させていくために、本事業団採用検討委員会のご助力もいただきながら障害者職員の新規採用に向けた調整をすすめます。

    3. 地域就労支援を支える関係機関との連携強化
       令和3年(2021年)3月に民間企業の法定雇用率が2.3%に引き上げられました(従来は2.2%)。また、箕面市が策定する第6期障害福祉計画では、引き続き、本事業団を核として関係機関の連携による就労支援の実施が行動目標に盛り込まれました。これらを踏まえ、地域全体で障害者の就労支援を支えられるように、事業所間での支援の役割分担や連携をすすめていきます。
       また、箕面市の障害者優先調達推進方針を踏まえた市内事業所への業務を確保するための調整など、地域での就労を支える事業所への間接的な支援を継続します。



  3. 令和3年度(2021年度)実施内容
  4.  これらの基本方針のもと、新年度に本事業団の各現場で取り組むべき実施内容は、以下のとおりです。

    (1)障害者の雇用促進を図るための調査研究及び相談支援
    ア.調査研究
     事業開始から30年を経過する中で培った支援ノウハウがある一方で、高年齢層が多数となっている障害者職員の雇用継続に必要な支援については、まだまだ手探りで取り組んでいる状況です。これら本事業団現場での取り組みに関して、その内容を各地で拡がる障害者雇用現場の参考に資することをめざし、整理して積み上げておくための手法について、検討をすすめます。

    イ.相談支援
     国制度等に基づく相談支援事業ではなく、公益法人である本事業団の役割として設立当初から独自に地域住民や企業・団体からの相談に柔軟に対応しています。

    (2)障害者の職域拡大を図るための助成事業及び職種開拓育成事業
    ア.アートショップ「グリーンるうぷ」運営事業
     地域の障害者施設利用者や障害者個人が製作したアート商品等の周知と収入確保を目的に販売代行事業の拠点として運営してきました。
    新年度は、これまでの取り組みを改めて検証し、みのおライフプラザ内にある販売拠点の立地を活かした店舗の有効な活用方法について、地域の障害者団体等とも連携しながら検討をすすめます。

    イ.障害者雇用助成事業
     職業的重度障害者の雇用を目的に設立された市内の障害者事業所に対して、箕面市との連携のもと、本事業団要綱に基づき運営に必要な助成を行います。

    ウ.職種開拓育成事業
     職業的重度障害者の職種開拓、職域拡大に取り組む市内障害者団体に対して、本事業団要綱に基づき事業育成に必要な資金の助成を行います。

    エ.その他のパイロット事業
    a)図書館資料修理等業務
     箕面市教育委員会から業務を受託し、図書館蔵書の補修、カバー装着作業等を、市内障害者事業所、通所福祉施設が実施できるように共同受注の手法のもと調整します。
     令和2年度(2020年度)より開始した貸出管理用ICタグの再利用作業は、引き続き取り組めるようにするとともに、受託先の障害者が取り組み可能な作業の開拓にも努めます。

    b)みのおライフプラザ清掃業務
     みのおライフプラザにおける日常清掃業務の一部(事業所内のごみ回収等)を、市内通所福祉施設が実施できるように調整します。
     当該業務は開始当初からの5年契約を更新し、新年度は新たな5年契約の初年度となりますが、より多くの施設が参画できるように、引き続き調整いたします。

    c)資源ごみ回収業務
     箕面市はじめ関係機関との調整のもと、市内公共施設等から排出される資源ごみ(ダンボール、新聞紙等の古紙、古布)を回収し資源化する業務を行います。
     当該事業の目的は、加齢等にともない体力低下がみられる障害者職員をはじめとする重度障害者の職域を拡げることです。このことを踏まえ、より安定した事業実施ができるように、回収方法の改善をはかります。

    d)その他のパイロット事業
     障害者の職域拡大を図るべく積極的かつ柔軟に展開できるように、箕面市はじめ関係機関からの情報収集に努めます。

    (3)障害者理解を深めるための啓発活動
    ア.障害者福祉啓発講座
     箕面市からの委託を受け、広く市民を対象とした講座の企画運営を行います。
     これまでの参加者アンケートの内容等も参考に、より市民ニーズに合った内容が実施できるように企画します。また、新型コロナウイルス感染症の流行状況に応じた大阪府ガイドラインに沿った感染対策や自宅等からでも参加できるオンラインによる開催等の準備も併せてすすめていきます。

    イ.ホームページ等による情報発信
     本事業団の活動を紹介するとともに、重度障害者職員が発信するブログ記事など、本事業団ならではの情報発信となるウェブ媒体づくりを心がけます。

    (4)障害者の就労の場の確保及び実習を通した職域拡大を図るための受託事業
     障害者職員と共に働く場の業務として、以下の事業を行うとともに、それぞれの現場を障害者の就労体験(実習)の場にも位置付けて、幅広く受け入れます。

    ア.緑化推進事業
    a)箕面市都市公園花壇管理等事業
     箕面市内の公園花壇、街路樹枡や設置プランターの植え替え、除草及び灌水業務を行います。
     なお、夏季の酷暑下における作業中の熱中症等への対策を引き続き実施します。

    b)公共施設内緑化推進事業
     公共施設敷地内の屋外清掃、樹木管理、花壇管理、観葉植物設置業務等の植栽管理業務を行います。
     なお、当該現場では障害者職員の新規採用をすべく調整をすすめるとともに、多様な障害者の受け入れが検討できるよう職場環境の整備も行います。

    c)その他の緑化推進事業
     市内民間業者や市民等から委託を受け、通年で観葉植物の設置(リース)等の業務を行います。
     なお、観葉植物の設置箇所の拡大に向け、情報収集に努めます。

    イ.リサイクル事業
     箕面市立リサイクルセンターで行う資源ごみ(空き缶、空きびん)選別業務を行います。
     なお、加齢に伴い健康状態に配慮が必要な障害者職員に対して、家族や生活支援者等と連携しつつ、職場でも可能な健康維持に関するサポートに努めます。

    ウ.ビルメンテナンス事業
     箕面市立リサイクルセンター内の日常清掃業務を行います。
     なお、リサイクル事業と同様に障害者職員の健康維持に関する必要なサポートに努めます。

    (5)障害者の一般企業等での就労と、地域での生活を支えるための相談支援事業
    ア.豊能北障害者就業・生活支援センター
     障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく指定事業として、箕面市、池田市、豊能町、能勢町に在住の障害者に対して、企業で働き続けられるために地域の関係機関との連携のもと、必要な相談支援を幅広く行います。
     新年度は、地域の支援機関の連携を深められるような情報交換の場を積極的に企画し、障害者の企業就労支援を今まで以上に身近なものとして共有できるようにしていきます。

    イ.箕面市障害者雇用支援センター
     障害者総合支援法に基づき指定を受けた以下の事業を相互に連携させて、地域の障害者の一般企業等での就労とその後の職場定着に向け支援します。

    a)就労移行支援事業(令和3年1月に定員20名を12名に変更)
     原則2年以内の期間での施設通所や職場実習での関わりを通して、個々の希望や適性に見合う就職の支援を行います。
     近年、近隣地域に就労移行支援を実施する事業所が多く参入し、箕面地域から遠方の施設に通所するケースが多くなっています。地域の障害者が身近な地域で支援が受けられるメリットを感じてもらえるように、就職に必要なソーシャルスキルを身につけるためのプログラムの充実をはかるとともに、実施内容のPRを強化します。

    b)就労継続支援B型事業(定員10名)
     多機能型事業所の制度を活用し、令和3年(2021年)1月から新たに始めた取り組みです。プログラムの実施にあたっては、本事業団の事業拠点の一つであるメイプルホール2階の喫茶店舗スペースを利用することで、従来の就労移行支援との併設による「3密」(密閉・密集・密接)を避けるとともに、支援メニューの多様化をはかります。
    支援の対象となるのは、支援学校等の学校卒業直後など「就労移行支援事業」の利用の前段階で、継続的な就労に必要な生活リズムを整えるなどの支援が必要な障害者を想定しています。それらの障害者に対して、日々の通所でのプログラムを通じて、調理や買い物等の社会体験機会を確保するとともに企業就労のイメージを身につけてもらえるように関わります。また、自宅に引きこもりがちな障害者に対して在宅でも参加できる支援を提供するなど、今まで以上に柔軟なプログラムを提供していきます。
     なお、当該事業の利用期間は独自に2年以内に設定し、支援を受ける障害者と職員とが常に利用期限を意識しながら、スキルの向上を確認できるようにしていきます。

    c)就労定着支援事業
     就労移行支援、就労継続支援B型等の障害福祉サービスの利用を経て一般企業等で就労している障害者を対象に、就職後6ヶ月経過時点から最大で就職後3年6ヶ月経過するまで職場定着のために効果的な支援を継続して行います。
     平成30年度(2018年度)より事業を開始したことから、新年度に初めて3年6ヶ月の支援期間終了となる利用者への支援が見込まれますが、法人内の「障害者就業・生活支援センター」へ引継ぐことにより、切れ目のない支援を行います。

    ウ.特定相談支援、障害児相談支援(相談るうぷ)
     障害福祉サービスを利用する際に必要な「サービス等利用計画」「障害児支援利用計画」を個々の障害者(児)の状況を踏まえて作成する支援を継続的に行います。

    (6)本事業団の目的達成に必要な財源を確保するための収益事業
    ア.喫茶店運営事業
     障害者職員と共に働く場の業務として、みのおライフプラザ1階の喫茶店舗を通年で営業するとともに、障害者の就労体験(実習)の場にも位置付けて、幅広く受け入れます。
     収益性改善のために店舗運営の見直しを行うとともに、より人が集う魅力ある場所づくりを意識していきます。また、大阪府の新型コロナウイルス感染症の流行状況に応じたガイドラインに沿った感染対策を徹底するなど、新型コロナウイルス感染対策にも留意した店舗運営を行います。

    イ.自動販売機設置管理事業
     箕面市内の公共施設等の建物・敷地内に自動販売機を設置する事業で、引き続き、新規開拓に努めながら適切に管理することにより貴重な自主財源を確保します。

    ウ.その他の物品販売事業
     その他、必要に応じて本事業団の収益確保につながる物品販売事業を実施します。

    (7)法人管理部門
     財務状況を「見える化」し、収支改善状況を定期的に確認するとともに、本年4月から施行する改正後の「職員就業規則」等が適切に運用できるよう、運用手順等の周知、更新をはかります。
     また、新型コロナウイルス感染症や気象災害等への備えとして、情報管理や連絡体制の整備など、リスクマネジメントを強化していきます。