一般財団法人箕面市障害者事業団(以下「本事業団」という。)は、障害者の職業的、社会的自立を促進するとともに、事業を通して基本的人権の尊重と市民文化の高揚を図り、もって市民福祉の向上に寄与することを目的として設立された公益法人です。
令和4年度の一般財団法人箕面市障害者事業団(以下「本事業団」という。)は、前年度に引き続き、各事業が安定的に運営できるよう、収支改善に向けた取り組みを進めてきました。
以下に、令和4年度事業計画において重点項目に位置付けた3項目について、総括します。
平成30年度以降、事業収支の赤字による積立金の取り崩しが続いていたことから、財政基盤の再構築に向け、法人全体で支出抑制と収入確保の取り組みを強化しました。
① 雇用支援センターの取り組み強化
利用者数の増減が収入額に直結することから、多くの人に利用されるように関係機関と連携したPR活動を、前年度に引き続き積極的に行いました。その効果は着実にあらわれ、就労移行支援事業において一日の平均利用者数の増加、就労継続支援B型事業において新たに4名の利用につなげました。
② 喫茶るうぷライフプラザ店の収益改善
収益改善をはかるため、期間限定メニューの提供や季節ごとにミニイベントを開催するなど、あらたな来店者の獲得への取り組みを行いました。あわせて、物価高騰への対策として、品質は維持しながら仕入れ材料の見直しや食品ロスを抑えるなど、経費節減にも取り組みました。
上記以外の各種取り組みとあわせ、本年度の事業活動の収支は、1,122万円の赤字ですが、臨時経費を除いた事業活動では、696万円の黒字となり、5年度ぶりに積立金の取り崩しを行いませんでした。
次年度以降は令和4年12月に策定した「中期運営計画」に沿って、財政再建の取り組みを着実に実施していきます。
「障害者優先調達推進法」の趣旨を踏まえ、積極的な活用について関係機関と連携して情報収集や意見交換を行いました。
① 市内障害者団体等との新たな連携体制の整備
「優先調達事業等調整会議」を開催し、箕面市における優先調達の取り組みについて、障害者事業所や福祉施設等とともに理解を深め、収益向上につながる活用に向けた意見交換を行いました。
② 「アートショップグリーンるうぷ」の共同利用による取り組みの実施
ここ数年の本事業団での検討、関係団体との意見交換を踏まえ、共同利用の取り組みを具体化すべく準備を進めていましたが、箕面市において施設再配置の方針が示されたことから、まずはその動向を注視しながら、より効果的な活用方法について再検討することとしました。
今後も、障害者の「働く」を取り巻く環境の変化にあわせ、本事業団として実施すべき取り組みについて、議論を深めていきます。
「働く場」での実践を継続していくるために必要な障害者人材の確保や、安定的に運営できるよう管理部門の強化に向けた検討を行いました。あわせて、各事業の業務分担の検証や必要な見直しを実施しました。
① 1号職員の継続雇用と人材の確保
1号職員の定年後の継続雇用について、職員本人、家族や生活支援者等との面談を実施し、支援体制や関係規定の整備に向けた検討を進めました。また、職場実習の受け入れを積極的に行い、今後の新規採用を見据えた支援体制の確認と、職場環境のアセスメントを行いました。
② 管理部門の強化と業務分担の最適化
業務の効率化や経常経費の低減策について取りまとめ、「中期運営計画」に反映させました。また、各事業において階層別業務の再整理や、事務局会議の機能強化などの必要な見直しも実施しました。
以上のとおり、本事業団設立当初からの目的である地域社会におけるノーマライゼーションを推進するため、本年度も職員が一丸となって、組織基盤の強化に取り組んできました。
この歩みを止めることなく、次年度以降も各事業を着実に実施していきます。
令和4年度の事業計画に基づき、以下のとおり各事業を実施いたしました。
(1)障害者の雇用促進を図るための調査研究及び相談支援
ア.調査研究
ホームページに障害者職員の仕事や暮らしぶりを紹介するブログ(ヒロシのつぶやき)を定期的に掲載し、
障害者職員の日常生活等を通し、当該職員の想いを発信しています。時折「俳句」を詠んでいます。
一読してみてください。
イ.相談支援
本事業団は、「障害者雇用促進法」や「障害者総合支援法」、「児童福祉法」に基づく大阪府知事、箕面市長の
指定を受け、相談事業を実施しています。
これらに加え、事業団独自の取り組みとして、市民からの「相談」も本部事務所において、随時、対応しています。
また、「働く体験の機会」を提供する職場実習についても、市内障害者施設等との連携のもと、8名の実習生に対し、
合計129日間実施しました。
(2)障害者の職域拡大を図るための助成事業及び職種開拓育成事業
ア.アートショップ「グリーンるうぷ」運営事業
今後の店舗スペースの活用方法を検討するため、『優先調達事業等調整会議』を2回開催しました。
検討を進める中で、箕面市から公共施設の再配置の方針が示されたため、「みのおライフプラザ」に関する
情報収集に努めました。
イ.障害者雇用助成事業
箕面市の補助金を得て、本事業団の職種開拓育成事業の適用を受けた3事業所に対し助成を行いました。
豊能障害者労働センター
障害者の働くパンハウスワークランド
箕面市障害者共働事業所たんぽぽ
ウ.職種開拓育成事業
本事業団職種開拓育成事業実施要綱に基づき、自主的に職種開拓事業を実施する市内障害者事業所に対し、
本事業団独自の支援を行いました。
エ.その他のパイロット事業
a)図書館資料修理等業務
箕面市内の福祉施設等の収益や工賃向上を目的に、本事業団が「調整役」となり箕面市教育委員会から業務を受託し、
市内2事業所へシェアしています。
内容的には、合計2,750冊の補修、1,295冊のカバー装着、3,270冊の貸出管理用ICタグを再利用するための
切り取り作業を、それぞれ円滑に実施できるよう調整しました。
b)みのおライフプラザ清掃業務
箕面市内の福祉施設等の工賃向上を目的に、「みのおライフプラザ」の事務所フロアを中心とした「ごみ回収作業」の一部を
本事業団が受託し、市内3事業所にシェアし、通年で238日間実施しました。
c)資源ごみ回収業務
重度障害者の職域拡大を目的に、市内の公共施設に限定した資源ごみの回収事業を通年で実施しました。
51施設から排出された資源ごみ、新聞紙5,610kg、雑誌85,420kg、ダンボール81,800kg、紙パック7,580kgの
合計180,410kg(2t収集車約90台分)を回収しました。
d)その他のパイロット事業
上記のa)からc)の取り組み以外にも、重度障害者の職域拡大につながる取り組みとして、令和5年度から新たな事業を
開始するために、関係先との調整も行いました。
(3)障害者理解を深めるための啓発活動
ア.障害者福祉啓発講座
箕面市からの受託事業として、広く市民を対象とした啓発講座を年間3回開催し、合計161名の参加がありました。
前年度に引き続き、来場者の間隔を確保できる会場での開催やYouTubeによる同時配信も行っています。
特に、コロナ禍にあって、多くの市民が安心して参加できるよう、消毒用アルコールやマスクの準備など、基本的な
感染対策を講じて開催しました。
なお、各講座の開催実施結果は次表のとおりです。
全体テーマ:「障害のある人もない人も 豊かで自分らしい暮らしを!」
<1回目>
日 時:令和3年(2021年)12月9日(木)午後2時30分から午後4時30分
場 所:箕面文化・交流センター大会議室
テーマ:「アトリエインカーブ物語:アートと福祉で社会を動かす」
講 師:今中 博之 氏(社会福祉法人 素王会 理事長、アトリエインカーブ 代表他)
参加者:54名
<2回目>
日 時:令和5年(2023年)2月6日(月)午後2時30分から午後4時30分
場 所:箕面文化・交流センター大会議室
テーマ:『障害者差別解消法の制定から10年を迎えるにあたって~誰ひとり取り残されないまちづくり~』
講 師:玉木 幸則 氏(内閣府障害者政策委員会 委員、特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会、顧問他)
参加者:64名
<3回目>
日 時:令和5年(2023年)3月13日(月)午後2時30分から午後4時30分
場 所:箕面文化・交流センター大会議室
テーマ:『施設コンフリクトを契機とした新たなつながりの創造』
講 師:野村 恭代 氏(大阪公立大学 都市科学・防災研究センター、大学院現代システム科学研究科 教授)
参加者:43名
イ.ホームページ等による情報発信
財務諸表等の公表や本事業団の活動を紹介する情報ツールとして活用しています。
また、重度障害者職員が当事者目線で感じたことを自らブログ記事にし、定期的に発信しています。
加えて、喫茶店舗の期間限定メニューの紹介や啓発講座の開催周知、障害者雇用支援センターでの日々の
活動状況などを発信する情報ツールとしても活用しています。
また、本事業団の近況を端的にまとめた「事業団ニュース」を作成し、関係機関に送付しました。
(4)障害者の就労の場の確保及び実習を通じた職域拡大を図るための受託事業
ア.緑化推進事業
a)箕面市都市公園花壇管理等事業
箕面市から委託された箕面市内の公園花壇やプランター、街路樹枡等の花壇管理を障害者職員を中心に行いました。
ここ3年間の実績は以下のとおりです。
なお、緑化事業の各現場で共通して言えることですが、通りがかった市民の皆さんから「ご苦労さま、ありがとう」と
声をかけていただくことで、元気に業務を行うことができました。
花壇の植栽を含む管理業務 | 街路樹枡等の除草箇所 | 市内全域合計 | |||
---|---|---|---|---|---|
西部地域 | 中部地域 | 東部地域 | |||
令和2年度 | 19箇所11,580本 | 22箇所22,374本 | 11箇所8,331本 | 19箇所 | 71箇所42,285本 |
令和3年度 | 19箇所11,580本 | 21箇所22,377本 | 11箇所8,331本 | 19箇所 | 70箇所42,288本 |
令和4年度 | 18箇所14,428本 | 24箇所20,497本 | 13箇所11,745本 | 16箇所 | 71箇所46,670本 |
公園花壇管理では、体力に合わせて工程を工夫した多様な作業を行いました。夏場の酷暑下での屋外作業は、従事する障害者職員の体調や作業時の安全確保には最大限の注意を払いつつ業務を遂行しました。
b)公共施設内緑化推進事業
箕面市内の公共施設内に設置されている花壇に合計19,200本の花苗の植栽及び敷地内の除草や屋内清掃、芝の管理を障害者職員を中心に行いました。あわせて、観葉植物の入替え作業を5件、合計60回行いました。
c)その他の緑化推進事業
箕面市内の民間事業所の観葉植物の入替え作業を13件、合計145回行いました。
イ.リサイクル事業
箕面市立リサイクルセンターにおいて資源ごみ選別業務を受託し、障害者職員を中心に職員が一丸となって処理を行いました。本年度はコロナ禍での「巣ごもり」消費の影響が一段落し、特に空きびん搬入量が減少したため、処理量も減少しました。
なお、ここ3年間の実績は次表のとおりです。
空きびん | 空きかん(アルミ) | 空きかん(鉄) | 全体での再資源化率 | |
---|---|---|---|---|
令和2年度 | 756.07t(77.2万本) | 165.63t(1,104万本) | 97.32t(324万本) | 90.1% |
令和3年度 | 809.14t(82.5万本) | 165.26t(1,102万本) | 93.39t(311万本) | 94.8% | 令和4年度 | 667.05t(68.1万本) | 159.02t(1,060万本) | 92.96t(310万本) | 90.6% |
【空きびん・空きかんの本数換算について】
・空きびん⇒980g(1.8L 1本分)
・アルミ缶⇒15g(350ml 1本分)
・鉄缶⇒30g(180ml 1本分)で換算しています。
ウ.ビルメンテナンス事業
箕面市立リサイクルセンターにおけて清掃業務を受託し、障害者職員を中心に実施しました。
(5)障害者の一般企業等での就労と、地域での生活を支えるための相談支援事業
ア.豊能北障害者就業・生活支援センター
就業面の支援と、就業に伴う生活面の支援を実施しました。
新たに36名の登録があり、登録者は昨年度から6名増えて612名になりました。
来所、企業現場や関係機関への出張、電話等での相談など4,166件の支援を行い、新規の就職24件、職場実習のあっせんは41件、年度末時点の登録者のうち、企業等で働いている人は、38名増えて366名となっています。
ここ3年間の実績は次表のとおりです。(登録者数、企業等での就労者数は各年度末)
登録者数 | 新規就職者数 | 企業等での就労者数 | |
---|---|---|---|
令和2年度 | 586名 | 25名 | 320名 |
令和3年度 | 606名 | 25名 | 328名 | 令和4年度 | 612名 | 36名 | 366名 |
なお、障害当事者含む幅広い層を対象にしたセミナーを計4回開催し合計102名、北摂地域5箇所の障害者就業・生活支援センターと合同開催した企業を対象としたセミナーに56名の参加がありました。また、在職中の登録者を対象とする交流活動を5回実施し、合計51名の参加がありました。
各種イベントの開催にあたっては、対面だけでなくZoom等のオンラインも活用し、安心して参加してもらえるよう工夫しながら取り組みました。
イ.箕面市障害者雇用支援センター
a)就労移行支援事業(定員12名)
通年で、241日間の支援を行い、利用者の通所につなげるPR活動を積極的に実施したこともあり、利用者数は増加しています。また、10名の企業就労が実現しました。
なお、ここ3年間の実績は次表のとおりです。
年度 | 実施日数 | 延べ利用者数 | 一日平均利用者数 | 就職者数 | 定員 |
---|---|---|---|---|---|
令和2年度 | 230日 | 2,092人日 | 9.1名/日 | 4名 | ※ |
令和3年度 | 240日 | 2,360人日 | 9.8名/日 | 6名 | 12名 |
令和4年度 | 241日 | 2,894人日 | 11.9名/日 | 10名 | 12名 |
※令和3年1月から定員を20名から12名に変更しています。
b)就労継続支援B型事業(定員10名)
本事業も、就労移行支援事業と同様、関係機関への積極的なPR活動の成果として、年度末までに新たに4名と契約するなど、徐々に利用者が増えています。通年では241日、延べ1,474人名の利用がありました。喫茶るうぷメイプルホール店を活用した接客等の店舗業務、調理や買い物等の社会体験を、就労移行支援事業の利用に向けたステップアッププログラムとして実施しています。
c)就労定着支援事業
本年度は、13名に対して合計100件の支援を行いました。今後、法令で定められた就職後3年6か月の支援期限に達した人に対しては、「障害者就業・生活支援センター」に引き継ぐなど、切れ目のない定着支援を行っていきます。
ウ.特定相談支援事業、障害児相談支援(相談るうぷ)
サービス等利用計画(障害児支援利用計画)の作成ほか、福祉サービスの利用状況の確認(モニタリング)などの相談支援を行いました。契約者は7名増えて35名(うち児童9名)になりました。訪問や来所による相談を年間で240件、また、電話や見学同行、その他の支援を1,344件、合計1,584件行いました。
相談にあたっては、関係機関との連携のもと、サービス担当者会議を開催するほか、本人中心のチームづくりを構成して向き合っています。
(6)本事業団の目的達成に必要な財源を確保するための収益事業
ア.喫茶店運営事業
「みのおライフプラザ」内で障害者職員を中心に年間237日間、喫茶店舗を営業しました。コロナ禍にあっても、お客さまに安心して利用してもらえる店舗運営を心がけました。
期間限定メニューの提供やミニイベントの開催など新たな取り組みをすすめています。
イ.自動販売機設置管理事業
市内公共施設等に自動販売機を設置し、常設機が合計74台で881箇月、市民プール等期間限定での設置機が合計2台で4箇月、それぞれ飲料販売会社との連携のもと販売管理を行いました。前年度に引き続き、新設に向けた調整をすすめました。
(7)法人管理部門
「中期運営計画」の策定や各種見直しなど、法人全体にまたがる業務について、各事業と連携して行いました。
*本事業団賛助会員の状況
本事業団の賛助会員として広く協力を依頼し、個人会員、団体会員より以下のとおり会費を受領しました。心からお礼申し上げます。会員の皆様には、今後も継続的なご協力をお願いいたします。
なお、ここ3年間の実績は次表のとおりです。
個人会員(1口500円) | 団体会員(1口3,000円) | |
---|---|---|
令和2年度 | 42件208口 | 16件61口 |
令和3年度 | 41件205口 | 16件55口 |
令和4年度 | 42件208口 | 16件55口 |