「働く」ことを軸に障害者のノーマライゼーションを目指す
大阪府箕面市稲1丁目11番2号

平成29年度(2017年度)一般財団法人箕面市障害者事業団事業計画

 平成2年度(1990年度)に設立された一般財団法人箕面市障害者事業団(以下「本事業団という。」)は、障害者の職種開拓・職域拡大、相談、障害者の働く体験の場としての実習受け入れ、これに伴う調査・研究、広報・啓発や助成事業等に取り組んできた。また、平成8年度(1996年度)以降は、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく障害者雇用支援センター運営事業を大阪府内で初、全国でも6番目の早さで開始するなど、障害者の企業就労支援についても早くから積極的に取り組んできた。そして、平成27年度(2015年度)からは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律(以下「障害者総合支援法」という。)に基づく指定特定相談支援事業を開始し、働くことに関する支援に限らず、福祉的な支援が必要な人に対する生活面での相談にも向き合っているところである。

 設立時は財団法人として大阪府の認可を受けた本事業団であるが、平成24年度(2012年度)からは公益法人制度改革により創設された一般財団法人へと移行した。このように、本事業団の法人形態だけでなく、障害者の地域生活や就労を取り巻く社会情勢も設立時からは変わったものの、これからも引き続き「障害者の働くことを軸としたノーマライゼーション」の実現に向け、各事業それぞれの取り組みを通して希求していく所存であり、引き続き箕面市議会、箕面市を始めとする関係機関、団体の変わらぬご支援ご協力をお願いするものである。

Ⅰ.重点項目
平成29年度(2017年度)の本事業団は、特に下記5点を重点項目として取り組むものとする。

  1. 障害者職員の高齢化等の諸課題への対応
    平成2年(1990年)に障害者の働く場として取り組みをスタートしてから、間もなく27年が経過しようとしている。現在在籍している障害者職員の平均勤続年数は24.6年(本年4月1日現在)となっており、重度障害者の働く場の取り組みとしての一定の成果と意義が確認できる。一方で在職している障害者平均年齢は、48.0歳(本年4月1日現在)となり、加齢にともなう体力低下、生活習慣病等の個々の職員の体調変化加え、家族の高齢にともなう対応など、これまでとは異なる支援も必要となってきている例もみられている。
    本事業団設立からこれまでで経験することがなかった諸課題に直面する状況になったともいえるが、これらは障害者を多数雇用する事業所が同じように今後に向き合っていく諸課題でもあると考えられる。よって、重度の障害者雇用を率先垂範する立場である本事業団としては、本事業団が実施する相談支援をはじめ地域の相談支援事業所等とも連携し、個々の障害者の体調や家族の状況を踏まえた事業主の立場からの丁寧なサポートの実践を深める。
  2. 職場実習(働く体験)の位置づけの整理と取り組みの拡大
    本事業団では、障害者就労現場において働く体験の場として位置づけた職場実習を設立以来取り組んでいる。特例子会社等の民間企業でも支援学校や就労支援機関に在学・在籍している人を対象とした職場実習の取り組みが広がっている中、改めて、本事業団が行う職場実習の位置づけを整理するとともに、在宅の障害者だけでなく就労継続B型等の福祉施設に通所している人も広く対象として、働く体験の機会を積極的に提供できるように、関係機関との連携を深める。
  3. 地域ニーズを踏まえた、基幹的な役割を担う就労支援機関としての取り組み
    本事業団が大阪府知事の指定を受け、平成20年度(2008年度)から実施している障害者就業・生活支援センターにおける登録者は400名を突破している。対象者の障害や支援ニーズも幅広くなっており、圏域の障害者就労支援の基幹的な役割を果たし続けられるように関係機関との連携をさらに深めるとともに、担当職員のスキルアップに努めていく。また、併設している就労移行支援(箕面市障害者雇用支援センター)についても、障害種別を問わず企業就労を目指す障害者の就労トレーニングを実施する支援機関として、地域ニーズを踏まえた事業展開をはかる。
  4. 障害者総合支援法等の動きを見据えた、当面の事業見通しの検討
    平成30年(2018年)4月に障害者総合支援法の一部改正が予定されている。本事業団における障害者総合支援法に基づく指定事業は、就労移行支援(箕面市障害者雇用支援センター)と特定相談支援および児童相談支援(相談るうぷ)の取り組みが該当する。特に就労支援分野において「就労定着支援」が創設される予定であるが、現時点での厚生労働省からの通知等では詳細が明らかとなっていない状況である。本事業団としては、制度改正の詳細についての情報収集を常に行いつつ、一般企業で就労する障害者、就労を目指す障害者に対する支援を維持できる体制の検討をすすめていく。
    また、特定相談支援等の相談支援については、箕面市における相談支援の基幹センターとしての役割を担っていた在宅ケアセンターの運営主体が変更となることから、基幹相談、委託相談の事業所との連携・役割分担を意識した支援を通して、地域の支援ニーズに本事業団の取り組みがより主体的に関われるよう模索する。
  5. 福祉的就労の障害者の工賃向上、社会的雇用の事業所の収益拡大に向けた取り組みなどの間接的な支援の強化・充実
    平成28年度(2016年度)から、箕面市における障害者優先調達推進法の取り組みの一環として箕面市が公共施設の清掃業務の一部について、箕面市内の事業所に通所する障害者の工賃向上、社会的雇用の事業所の収益拡大を目的に、本事業団が受注量の調整を行う取り組みが始まっている。本事業団としては、これまで取り組んできた障害者の直接雇用、障害者の企業就労支援、市民啓発に次ぐ4本目の柱として据えていくべき取り組みといえる。
    具体的には、本事業団が平成21年(2009年度)から実施しているアートショップぐりーんるうぷにおける障害者施設の利用者等が製作したアート作品の委託販売と合わせて、間接的支援の強化・充実をはかる。

Ⅱ 実施計画

  1. 公益目的支出計画の実施事業
    (1) 障害者の雇用促進を図るための調査研究及び相談支援を行う。

    ア.調査研究
    本事業団各部署での実践を取りまとめ、実務者が集まる研究発表等の機会には積極的に参加するようにし、外部からの意見等を得られる機会としていく。

    イ.相談支援
    障害者総合支援法に基づく特定相談および児童相談、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく障害者就業・生活支援センターにおける相談等、障害当事者、関係機関、障害者雇用の事業主等からの専門的な相談に対応する。また、これらの制度に基づかない相談に対しては、本部事務所においても柔軟に対応していく。

    (2) 障害者の職域拡大を図るための職種開拓事業(パイロット事業)を行う。

    ア.ビルメンテナンス事業
    箕面市立リサイクルセンター内での清掃業務を行い、市内在住障害者の実習の場とする。

    イ.アートショップ「グリーンるうぷ」運営事業
    箕面市立総合保健福祉センター(ライフプラザ)内で、障害者とアートに関連した品目を取り扱う職種開拓事業としてアートショップ「グリーンるうぷ」の運営を行う。店舗運営は、重度身体障害者職員が支援スタッフとともに担う。

    ウ.その他のパイロット事業
    障害者優先調達推進法に基づく市内障害者事業所の、工賃や収益の向上をめざす取り組みの「調整役」等、上記以外にも新たなパイロット事業に取り組むことも想定され、常に柔軟な発想をもって企画していく。

    (3) 障害者の職域拡大を図るための助成事業及び職種開拓育成事業を行う。

    ア.障害者雇用助成事業
    障害者の職域拡大を図るため、職業的重度障害者の雇用を目的に設立された障害者事業所に対して、助成を行う。

    イ.職種開拓育成事業
    重度障害者の職種開拓・職域拡大に取り組む市内民間障害者団体に対して、要綱に基づき、必要に応じて助成金の支給等を行う。

    (4) 障害者問題並びに人権問題の啓発に関する事業を行う。

    ア.障害者問題啓発事業
    広く市民を対象にした障害者問題啓発事業を箕面市から受託し、障害者問題の啓発を行なう。

    イ.ホームページによる情報発信
    事業団活動を広く紹介し、障害者問題について啓発する媒体として、ホームページの更新を適宜行う。また、公益法人として求められる情報公開を行う媒体としても積極的に位置づける。

    ウ.機関誌「障害者事業団だより」の発行
    事業団の現在の活動や地域の障害者支援の状況などを紹介した機関誌を年2回以上発行し、啓発及び賛助の輪をひろげるために頒布を行う。併せて、機関誌の内容はホームページでも紹介し、事業団の取り組みを知っていただく媒体とする。

    エ.その他
    その他、必要に応じ、各種イベントに参加し、障害者事業団の取り組みをピーアールする。

  2. その他の事業

    (1) 障害者の就労の場の確保及び実習を通した職域拡大を図るための受託事業を行う。

    ア.緑化推進事業

    a 箕面市都市公園花壇管理等事業
    箕面市内約70箇所の公園花壇、街路樹枡や設置プランターの植え替え、除草及び灌水を実施する。併せて市内在住障害者の実習の場とする。

    b 公共施設内緑化推進事業
    公共施設敷地内の屋外清掃、樹木管理、花壇管理、観葉植物設置業務などの植栽緑化管理業務を行う。併せて市内在住障害者の実習の場とする。

    c その他の緑化推進事業
    市内の民間企業や市民から委託を受け、観葉植物の設置等(リース等)を行う。

    イ.リサイクル事業
    箕面市立リサイクルセンターにおける、資源ごみ選別作業を受託し、資源ごみのうち空きかんについてはアルミ缶と鉄缶に、空きびんについては色別(白・茶・その他の3色)に選別する。併せて市内在住障害者の実習の場とする。
    また、当該作業現場には、しばしば在宅医療廃棄物が混入し障害者に安全な業務を提供することに支障がでている。そのため、委託元の箕面市とも連携し市民への啓発にも力を入れていく。

    ウ.その他の受託事業
    総合保健福祉センター建物清掃業務
    箕面市との連携により、障害者優先調達推進法に基づき総合保健福祉センターにおける日常清掃の一部を本事業団で受託し、市内障害者事業所で働く障害者の給料・工賃の向上を目的とする働く場を提供すべく、再委託業務の調整を行う。

    (2) ジョブコーチ(職場適応援助者)による支援事業等、就労支援事業を行う。

    ア.就労支援事業
    「喫茶るうぷメイプルホール店」での接客業務、食器洗浄業務等を本事業団が実施する障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業(箕面市障害者雇用支援センター)における「施設外支援」の一環として位置づけ、就職を目指す障害者に対して実践的な就労トレーニングの場を提供する。また、接客業務を通じた市民との接点を通して、企業就労を目指す障害者の就労支援の取り組みの啓発も行う。

    イ.訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業
    障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく訪問型職場適応援助促進助成金を活用した取り組みである。本事業団の障害者就業・生活支援センター等で実施している支援のうち、就労定着に向け、よりきめ細かい支援の実施が必要とされる現場においては、障害者本人と雇用事業主に対して大阪障害者職業センターとの連携により所定の期間の支援を実施する。

    (3) 障害者就業・生活支援センター運営事業(名称:豊能北障害者就業・生活支援センター)を行う。

    「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく専門的な相談機関として大阪府知事の指定を受け、箕面市・池田市・豊能町・能勢町に在住の障害者に対して、企業等で就職し就労定着できるように、雇用事業主の雇用管理も含めた就労面の支援と、生活基盤での不安を取り除くための生活面の相談支援を一体で実施する。
    登録者が増加するとともに障害状況や就労に向けたニーズが多様になっていることを踏まえ、地域の就労支援機関、相談支援機関、特別支援学校等の教育機関、医療機関、公共職業安定所、大阪障害者職業センター、行政機関等の関係諸機関とのネットワークをさらに深め、より効果的な支援が実施できる体制の構築に努める。

    (4) 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業である就労移行支援事業(名称:箕面市障害者雇用支援センター)を行う。

    障害者総合支援法に基づき箕面市長の指定を受けた通所施設である。一般企業等での就職を目指す障害者を対象に、原則2年以内の期間での関わりを通じて、より個々の希望や適性に見合う就職先を一緒に見つけていく取り組みを行う。
    なお、箕面市内及び大阪市内を含む近隣市では、他法人による就労移行支援事業所の取り組みも多くみられる状況である。他の事業所との棲み分け、共存をはかる意味でも、地域での支援ニーズを常に把握したうえで、より効果的かつ質の高い支援が提供できるように具体的な支援メニューの中身は常に問い直しをすすめていく。

    (5) 障害者総合支援法及び児童福祉法に基づく指定計画相談支援事業(名称:相談るうぷ)を行う。

    障害者総合支援法及び児童福祉法に基づき障害福祉サービスを利用するにあたって必要な「サービス等利用計画
    案(障害児支援利用計画案)」を作成する等の「サービス利用支援(障害児支援利用援助)」、及び、定期的に利用者およびその家族、障害福祉サービス事業者からの状況の確認(モニタリング)を行い、必要に応じて、サービス等利用計画の変更を行う等の「継続サービス利用支援(継続障害児支援利用援助)」を行う。
    なお、本事業団においては、根拠法が児童福祉法となる18歳未満の障害児とその家族に対する支援についても相談支援専門員の体制で対応できる範囲で積極的に関わっていく。

    (6) 障害者の就労の場の確保と目的達成に必要な財源を確保するため、喫茶店運営事業を行う。

    箕面市立総合保健福祉センター(ライフプラザ)内で喫茶るうぷの通年運営を行い、障害者の就労の場とするとともに、併せて市内在住障害者の実習の場とする。
    また、本事業団の事業運営にかかる財源を確保するため、期間限定メニューの設定や、宣伝活動の強化などにより、集客につなげる。

    (7) 障害者の就労の場の確保と目的達成に必要な財源を確保するため、物品販売事業を行う。

    ア.自動販売機設置管理事業
    箕面市の公共施設等における自動販売機の設置及び管理を行う。

    イ.その他の物品販売事業
    その他、必要に応じて、物品販売事業を行う。