「働く」ことを軸に障害者のノーマライゼーションを目指す
大阪府箕面市稲1丁目11番2号

平成27年度(2015年度)事業報告書の総括事項・事業関係事項

Ⅰ.総括事項
一般財団法人箕面市障害者事業団(以下「本事業団」という。)は、「障害者に適した職種開拓のための調査研究活動や障害者の就労支援及びその実践活動を展開し、障害者の職業的、社会的自立を促進するとともに、事業を通して基本的人権の尊重と市民文化の高揚を図り、市民福祉の向上に寄与すること」を目的として、平成2年度に設立し、平成24年度からは一般財団法人へと移行し各事業を展開している公益法人である。
なお、本事業団が平成27年度に取り組んだ主な取り組みは、下記のとおりである。

1.本事業団の設立25周年の節目としての取り組み
平成27年度は、設立25周年の節目ということもあり、これまでの法人の取り組みをまとめた記念誌を発行するとともに、その内容を本事業団ホームページでも公開した。また、事業団により運営を行なっている市民対象の障害者問題連続講座の第1回目を設立25周年の記念講座として位置づけ、箕面市がこれまで取り組んできた障害者市民の社会的雇用について造詣の深い埼玉県立大学の朝日雅也教授を講師にお招きするとともに、講演前には箕面市長及び箕面市議会議長より祝辞をいただいた。

2.指定特定相談支援事業所「相談るうぷ」の開所による地域の相談支援ニーズへの対応
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)に基づく指定特定相談支援事業を開始した。障害福祉サービスを現に利用している、または障害福祉サービスの利用を希望する人に対して、ケアマネジメント視点での専門的な支援ニーズに本事業団が対応すべく取り組んだ。

3.地域の就労支援の核として、障害者の一般企業への就労支援を更に充実させるための取り組み
引き続き、障害者総合支援法に基づく就労移行支援、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく障害者就業・生活支援センター、ジョブコーチによる支援等の国制度に基づいた障害者の一般企業への就労が実現できるための支援を行った。地域の特別支援学校を卒業する際に企業へ就労する人が増えてきていることから、在学中からの相談支援の関わりが持てるように学校との連携を心がけた。また、大学等の高等教育機関に在籍する要支援の学生を対象とした支援内容の説明会を開催するなど、本事業団が行う就労支援を知ってもらう機会を意識して設定した。
これら制度に基づく取り組み以外の本事業団の自主的な取り組みとして、障害者に働く場を提供しながら時間をかけて一般企業への就職に向けたチャレンジを行うなど、地域の障害者の「企業で働きたい」という幅広いニーズに本事業団の就労支援の各事業が寄り添えることを目指した。

4.障害者の多様な就労機会を確保し実践を啓発する取り組み、及び社会的雇用に取り組む事業所への支援
本事業団設立時からの取り組みとして、箕面市からの受託事業と、収益事業等を通して障害者の働く場を確保するとともに、福祉施設に通所している障害者を対象に働く体験(職場実習)の受け入れを行った。また、現場での人的支援や職場環境調整の内容は、当事者の了解を得た上で「支援事例・合理的配慮事例」としてホームページに掲載する取り組みを続けている。
平成28年4月から改正障害者雇用促進法が施行され、全ての事業主に対して障害者への「合理的配慮」「障害者差別禁止」が求められることとなるが、本事業団での実践を紹介したホームページを目にしていただくことで、障害者雇用をすすめる事業主が活用できるツールになることもねらいとしている。
さらには、箕面市内で職業的重度障害者を対象とした社会的雇用の働く場づくりに取り組む4箇所の事業所に対しても箕面市の補助金を得て助成をする等の支援を行った。

5.福祉的就労の工賃向上に向けた取り組みなどの間接的な支援
障害者優先調達推進法の取り組みの一環として箕面市が公共施設の清掃業務の一部について、箕面市内の福祉的就労の事業所に通所する障害者の工賃向上を目的に、本事業団が受注の調整を行う等の支援を行った。

以上、本事業団設立当初の目的である「地域社会におけるノーマライゼーションの推進」に一層寄与できるよう、今後もたゆまぬ経営努力と事業推進に全力で取り組んでいく所存であり、引き続き箕面市議会、箕面市を始めとする関係機関、団体の変わらぬご支援ご協力をお願いするものである。

Ⅱ.事業関係事項
平成27年度は、基本計画(4つの「公益目的支出計画の実施事業」と7つの「その他の事業」)に基づき各事業を実施した。
1. 公益目的支出計画の実施事業

(1)障害者市民の雇用促進を図るための調査研究及び相談支援事業

ア.調査研究 本事業団各事業で実施した実習及び雇用について、ICF(WHO提唱の国際生活機能分類)に基づく工夫の様子を、当事者の同意を得た上で、出勤時、仕事中、休憩中、作業環境の工夫、余暇、などの項目に分けて本事業団ホームページに掲載した。事例については、自主事業運営委員会において障害者関係団体からの意見を得た上でまとめたものである。これにより、障害者雇用をすすめる事業主等の合理的配慮の参考に資していきたいと考えている。

イ.相談支援
a ふれあい就労支援センター4階相談室にて、月2回、第2、4金曜日の午後に、「障害者市民何でも相談」を実施し、年間で12名、12件の相談があった。
相談内容は、本事業団実習希望に関するもの(9件)、在職中の仕事に関するもの(2件)、企業就労に関するもの(1件)であった。

b 実習の実施
「障害者市民何でも相談」を窓口として、箕面市に在住する満15歳以上の障害者を対象に「働く体験の場」を提供し延べ12名(知的障害者10名、発達障害者1名、精神障害者1名)、延べ98日、574時間の実習を行った。
なお、実習実施者の所属は、福祉施設在籍者7名(延べ51日)、在宅者3名(延べ47日)である。
また、豊能町の委託を受けて、豊能町内での障害者雇用相談に、年間を通して9回出向いた。

(2)障害者市民の職種開拓、職域拡大を図るための職種開拓事業(パイロット事業)

ア.ビルメンテナンス事業
箕面市立リサイクルセンターにおける清掃業務を実施した。

イ.アートショップ「グリーンるうぷ」運営事業
障害者団体や障害当事者から絵画や陶芸、さをり織り製品等の障害者アート作品の委託販売を行う「アートショップグリーンるうぷ」の運営を行い、年間を通じて244日間営業した。
店舗における販売等の業務を1名の障害者職員と共に行いつつ、大阪府精神障がい者社会生活適応訓練事業の協力事業所として、訓練生1名に対し59日間、226時間訓練を実施した。また、店舗への集客を目的に、箕面商工会議所主催の「まちゼミ」に参加し、店舗の魅力を伝えるためのイベントを企画して、チラシ掲載を実施した。

(3)障害者市民の職域拡大を図るための助成事業及び職種開拓育成事業

ア.障害者雇用助成事業
箕面市の補助金を得て、本事業団の職種開拓育成事業の適用を受けた4事業所に対し助成を行った。
豊能障害者労働センター 52,676千円、  障害者の働くパンハウスワークランド 19,679千円
つながり工房ふるる   8,179千円、  箕面市障害者共働事業所たんぽぽ 16,469千円

イ.職種開拓育成事業
本事業団職種開拓育成事業実施要綱に基づき、自主的に職種開拓事業を実施する民間団体に対し、支援を行ったほか、助成金としては、障害者の働くパンハウスワークランドに対し、5,000千円の支給を行った。

(4)障害者問題並びに人権問題の啓発に関する事業

ア.障害者問題啓発事業
箕面市からの受託事業として年間3回にわたり「障害者問題連続講座」を開催し、延べ290名の参加者があった。
各講座の開催内容は次のとおりである。

全体テーマ 「~『障害があっても、地域で学び、働き、安心して暮らしていきたい』その実現を応援するためのヒントを探る~」

【第1回~本事業団設立25周年記念講座~】
テーマ:『社会支援に基づいた障害者の多様な就労について』
日 時:平成27年(2015年)12月22日(火)午後6時45分から午後8時45分
場 所:箕面市立障害者福祉センター「ささゆり園」プレイルーム
講 師:朝日 雅也氏(埼玉県立大学教授)
参加者:102名

【第2回】
テーマ:『高齢期にある知的障害者の生活課題』
日 時:平成28年(2016年)2月5日(金) 午後6時30分から午後8時30分
場 所:箕面市立障害者福祉センター「ささゆり園」プレイルーム
講 師:谷口 泰司氏(関西福祉大学准教授)
参加者:88名

【第3回】
テーマ:『発達障害のある人の大学進学と合理的配慮』
日 時:平成28年(2016年)3月7日(月) 午後6時30分から午後8時30分
場 所:箕面市立障害者福祉センター「ささゆり園」プレイルーム
講 師:高橋 知音氏(信州大学教授)
参加者:100名

イ.ホームページによる情報発信
平成27年度は、主に次の内容の更新を行い、公益法人としての情報公開と、事業内容等の情報発信に努めた。
a 新たに事業を開始した、「相談るうぷ」の案内ページを作成して掲載
b 支援事例の追加分を掲載
c  平成27年度事業計画及び予算書、平成26年度決算書(事業報告を含む)を掲載
d  「障害者問題連続講座」のお知らせを掲載
e  「障害者事業団だより」No.47、特別号、No.48(設立25周年記念誌)、No.49を掲載
f  お知らせの追加分を掲載

ウ.機関誌「障害者事業団だより」の発行
本事業団の広報誌である「障害者事業団だより」の、No.48(設立25周年記念誌)、No.49、No.50を各号約
2,000部発行し、賛助会員の他、関係機関、関係団体へ郵送を行い、あわせて箕面市役所関係窓口、事業団本部等に設置した。
エ.その他の広報・啓発活動
市新規採用職員の現場体験研修と市新任監督者の福祉体験研修をリサイクル事業と緑化推進事業、「箕面市障害者雇用支援センター」の現場で、それぞれ受け入れた。
他府県から箕面市へ行政視察に訪れた視察者へ、箕面市の社会的雇用について説明する機会に同席し、資料に基づき説明をして意見交換を行った。
総合保健福祉センター(みのおライフプラザ)のアトリウムにて実施された「ライフプラザ夏祭り」「ライフプラザ冬祭り」、芦原公園にて実施された「箕面まつり」に出店し、広く市民に対して本事業団の取り組みの周知を図った。

2. その他の事業

(1)障害者市民の就労の場の確保及び実習を通した職域拡大を図るための受託事業

ア.緑化推進事業
箕面市内の公園花壇管理業務及び「ライフプラザ複合施設他植栽緑化管理業務」等を受託し、8名の障害者職員と共に業務を行った。そのうち1名は、有期限雇用の期間中に一般企業への就職をめざしており、周囲の安全に配慮しながらの作業や身体に負担がかからない姿勢を一緒に考える等、一般企業での就労場面で必要なスキルの獲得に向けた支援についても業務を通して実施した。

a  箕面市都市公園花壇管理等事業
箕面市から委託された公園花壇管理を行い、箕面市内の公園、街路樹枡等、74か所の花壇管理を実施した。合計47,313本の花苗を植栽し、地ごしらえ、植えつけ、灌水、除草、追肥、消毒等、障害者に合った工程を工夫し、多様な作業を行った。また、実習については、3名に対し23日間実施した。

b 公共施設内緑化推進事業
箕面市内の公共施設内に設置されている花壇に合計19,332本の花苗の植栽を行い、また観葉植物のリース入替え作業を6件、延べ72回行った。また、実習については、3名に対し47日間実施した。

c その他の緑化推進事業
箕面市内の民間事業所の観葉植物のリースの入替え作業を13件、延べ156回行い、箕面市戦没者追悼式へは
250鉢のミニ観葉植物の納品を行った。また、箕面市内のマンション自治会が企画するイベントに障害者事業所が参加できるように調整を行った。

イ.リサイクル事業
箕面市立リサイクルセンターにおける資源ごみ選別業務を受託し、8名の障害者職員と共に業務を行った(内、ビルメンテナンス1名)。平成27年度は、そのうち1名について、本人の意向を踏まえて有期限雇用の期間中に一般企業への就職に向けた支援を実施して、次の就職へとつなげた。
 資源ごみのうち空きびんは総搬入量920.96t(およそ94万本分)を761.32t(およそ77.7万本分)の白、茶、その他の色のカレットに選別した(再資源化率82.7%)。
また、空きかんは総搬入量237.64tを、244.73tのアルミ(およそ940万本分)、103.71tの鉄(およそ346万本分)に選別した(再資源化率103.0%)。
全体では86.8%の再資源化に寄与することができた。
【空きびん・空きかんの本数換算について】
・空きびん⇒980g(1.8L、1本分)・アルミ缶⇒15g(350ml、1本分)・鉄缶⇒30g(180ml、1本分)を基準に換算した。
本事業において、収集される空きびんの種類が多様化することによる選別業務の困難さが継続課題となっているが、判別をしやすくするために仕分ける空きびんを種類ごとに具体的に見本として掲示するなどの工夫により対応している。
なお、空きかんの再資源化率が100%を超えているが、この要因のひとつは、複数種類のごみを一度に持ち込まれた際に、缶として計量されていないものが処理されるためと、もうひとつの要因は、空きびんとして搬入された中に、アルミ缶や鉄缶の混入や、アルミ及び鉄製のキャップが空きびんからはずされないまま混入していることが多々あるため、これらの缶やキャップについても手作業にて除去、選別し資源化したことによるものである。
また、実習については、1名に対し4日間実施した。

(2)ジョブコーチ(職場適応援助者)による支援事業等、就労支援事業

ア.就労支援事業
「喫茶るうぷメイプルホール店」において、本事業団が運営する就労移行支援事業(箕面市障害者雇用支援センター)の利用者に対して、5名、延べ124日間にわたり接客業務等の店舗内作業を実践的なトレーニングの場として提供した。挨拶や接遇、手洗いの徹底等の衛生面での大切さを確認するだけでなく、食器洗浄等の作業については日常生活でも役立つスキルでもあるため、作業体験を通して自信を高める効果が期待できる取り組みでもある。また、店舗を利用する市民にとっても障害者の就労支援について理解を深めてもらえる機会にもなるように意識して取り組んでいる。
平成27年4月の箕面市立中央図書館リニューアル時に、館内で飲食できるエリアが新たに設けられたことから、コーヒーの自動販売機を本事業団が設置した。商品の補充・管理を作業体験の障害者と共に「喫茶るうぷメイプルホール店」で行うこととし、店舗の新たな収入源にした。

イ.職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業
所定の研修を受講した職場適応援助者(ジョブコーチ)が、企業現場等に出向き、障害者の職場定着を目指すべく、障害者の雇用現場での作業習得に向けた支援だけでなく、職場内での望ましいコミュニケーションのあり方について助言する取り組みである。また、障害者雇用事業主に対しても、同僚従業員による障害者へのサポートのあり方についての助言や、家族への連絡調整等の支援を行うものである。平成27年度については、11名に対して69日間の支援を実施した。
平成27年度については、国の制度変更により、職場適応援助者(ジョブコーチ)の助成金の仕組みが抜本的に変更となった。新たに開始する支援は、従来の「第1号職場適応援助者」から変更された「訪問型職場適応援助者」制度に基づいて取り組むこととなった。制度に基づく支援の実施に際しては支援計画の承認等の手続きが必要となったこともあり、これまでのような支援件数の実績となっていないものの、本事業団が実施する障害者就業・生活支援センター運営事業(豊能北障害者就業・生活支援センター)、「障害者総合支援法」に基づく就労移行支援事業(箕面市障害者雇用支援センター)と緊密に連携し、企業現場での手厚い支援を行うために当該制度を活用することを心がけた。

(3)障害者就業・生活支援センター運営事業(名称:豊能北障害者就業・生活支援センター)
障害者の雇用の促進等に関する法律の規定に基づき、箕面市、池田市、豊能町及び能勢町の求職中もしくは離職のおそれのある在職中の障害者の職業安定へ向け、一般企業での就労及び職場定着に向けた就業面での支援(雇用安定等事業)と、生活習慣の形成や日常生活の管理など、就業に伴う日常生活、社会生活上の支援(生活支援等事業)を障害者の身近な地域で一体的に実施し、職業生活における自立に向けた支援を行うため、本事業団が、大阪府知事から指定を受け事業を実施しているものである。
多様化する障害者の一般就労に向けたニーズに応えるべく、引き続き関係機関との連携のもと支援を行っている。年々登録者も増えてきており、平成27年度については、新規に53名の登録があり、年度末時点での登録者数は前年度末から45名増えて、397名となった。来所による相談だけでなく、企業現場や関係機関に出向くなど積極的に活動し、述べ5,688件の支援を行った。当センターが支援を行った新規の就職件数は31件あり、年度末時点において登録者のうち企業等で働いている人は232名(就労継続A型支援事業(※)で福祉サービスを受けながら働いている人を除く)となっている。
学校在学中の段階から、卒業後の就職を見据えた相談ニーズが高まっていることを踏まえて、平成27年度からは夏休み期間に障害当事者、家族、学校関係者、支援機関職員を対象とした事業説明会を行い35名の参加があった。今後も継続して取り組む必要性を感じている。また、一般企業で就労する障害者の交流会活動を平成27年度も継続的に実施した。ハイキングやデイキャンプなどの一緒に身体を動かすイベント、茶話会、マイナンバー制度に関する学習会など、内容を豊富化するだけでなく実施する曜日や時間帯についても幅広いニーズに応えられるものを企画、年間7回実施し延べ148名の参加があった。

(※)企業等に就労することが困難な障害者に対し、雇用契約に基づき生産活動などの機会の提供、能力向上のための訓練などを提供する取り組み

(4)「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービス事業である就労移行支援事業
                                  (名称:箕面市障害者雇用支援センター)

障害者総合支援法の規定に基づき、支援がなければ一般就労が困難であると考えられる65歳未満の障害者を対象に、原則2年以内の施設通所の関わりを通して企業での就職に向けた支援をするとともに、就職後の安定した就労に向け、関係機関とも連携をはかりながら必要な支援を実施しているものである。
平成27年度は、通年で238日にかけて利用定員20名の事業を実施し、年間を通して23名、
延べ3,231人日の障害者に対して支援を実施し、利用契約を終了した8名のうち6名が企業での就労を実現させることができた。平成27年4月当初の利用者は例年どおりの人数があったものの、その後の新規契約者が少なくなったこともあり、前年度と比べて一日あたりの利用者数は2.2名少なくなった。前年度から取り組みを始めている見学会等のPRを継続するなど、地域や関係機関への広報活動を年間通じて継続的に行う等の対応を行い、年度末に向けて徐々に利用者数を増やすことにつながった。
障害者が一般企業で就労するには、就職する企業での業務内容、社内風土と障害当事者のスキルや職業適性とのマッチングを丁寧にすることと職場定着支援を継続的かつ計画的に提供することが大切とされている。平成8年に障害者の雇用の促進等に関する法律に規定される障害者雇用支援センター制度(現在は廃止)で支援開始以来、施設内及び企業現場等での作業トレーニングを通して、個々の適性や障害者雇用に配慮を求める点を明らかにしつつ、本事業団就労支援課が実施する障害者就業・生活支援センター運営事業や職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業と連携する等の工夫を行い、効果的な支援が提供できるように心がけている。
また、近隣の特別支援学校等に在学中の生徒と保護者のニーズに応えるべく、見学会や就労継続B型事業の利用希望者への就労面のアセスメント(※)等、短期間かつ体験的な利用の受入れについても積極的に行った。
さらには、法制度に基づく社会福祉士養成過程の実習施設の要件を整えた上で、大学生1名の4週間に及ぶ実習を受け入れるとともに、近隣の就労支援機関からの依頼に基づき就労支援に取り組む職員の現場実習として、支援業務を理解していただく機会を提供した。

(※)障害者総合支援法及び関連法令に基づき、就労経験がない者が就労継続支援B型事業(企業等に就労することが困難な障害者に対し、生産活動などの機会の提供、能力向上のための訓練などを提供する取り組み)を希望する利用者は、就労移行支援事業所等の通所利用を通じて、個々の障害者の能力が最大限に発揮できるように一般企業での就職の可能性等の就労面でのアセスメントをすることが求められている

(5)「障害者総合支援法」に基づく指定計画相談支援事業(名称:相談るうぷ)
障害者総合支援法に基づき、障害福祉サービスを現に利用している、または障害福祉サービスの利用を希望する障害者に対して、サービス等利用計画を作成するなどの計画相談支援を、平成27年11月より開始した。
相談支援の対象者は、本事業団の障害福祉サービス(就労移行支援事業=箕面市障害者雇用支援センター)利用者のみではなく、他法人のサービス利用者に対しても広く対応している。平成27年11月から平成28年3月の5ヶ月間での、契約者数は16名であり、内7名が本事業団のサービス利用者、9名が他法人のサービス利用者であった。
相談の実施にあたっては、障害福祉サービスを提供している各事業者、基幹センターである箕面市社会福祉協議会の在宅ケアセンターとの連携のもと、家庭訪問や関係機関の訪問を積極的に行う等、とともに、箕面市地域自立支援協議会の相談支援部会、権利擁護部会に参加するなど、行政、障害福祉サービス事業者等との連携に努めた。

(6)障害者市民の就労の場の確保と目的達成に必要な財源を確保するための喫茶店運営事業
「喫茶るうぷみのおライフプラザ店」の運営を行い、2名の障害者職員と共に業務を行い、年間を通して294日間運営した。実習については、2名に対し16日間実施した。
支援学校中等部の職場体験実習の受け入れ事業所となり、生徒4名に対して8日間、喫茶店の店舗業務に取り組んでもらう機会を設けた。
売上確保には、みのおライフプラザへ多くの市民に来館していただくことが不可欠であることから、施設での定例イベント(「ライフプラザ夏祭り」「ライフプラザ冬祭り」)に箕面市行政と共に実行委員会に参画するなど主体的に関与した。また、新メニュー開発のため食材展示会に参加や、箕面商工会議所主催の「まちゼミ」勉強会に参加して、店舗の魅力を伝えるためのイベント企画等、集客および売上向上策の検討を継続した。

(7)障害者市民の就労の場の確保と目的達成に必要な財源を確保するための物品販売事業
箕面市の公共施設内等に自動販売機を設置し、常設機が延べ66台で792箇月、夏季市民プール施設の期間設置機が延べ6台、12箇月の管理運営を行った。
新規設置は3台で、箕面市役所庁舎内や箕面市立中央図書館のリニューアルに併せて設置した。また、設置業者の決定・変更にあたっては、バリアフリー機や、耐震基準を満たした機器設置の可否等、所定の条件を満たす設置業者の中から、手数料に応じて決定している。なお、障害者雇用促進のための財源となることを周知するステッカーを貼付することで、広く市民に利用してもらうように理解を求めた。

3. 事業以外の事項

(1)寄附金
本事業団の設立趣旨に賛同頂いた方々から4件、48,838円の寄附の申し出があり、寄附金収入として採納させて頂いた。

(2)会費
 本事業団の事業活動を支援いただく方に賛助会員として広く協力を依頼し、個人会費(1口500円)として57件、253口、計126,500円、団体会費(1口3,000円)として21件、78口、計234,000円を会費として受領した。