視力検査が困難な知的障害のある人の視力が低下した場合の予見について
プロフィール 知的障害 50代 女性
説     明  Bさんは、もともと軽い斜視がある方です。
 健康診断の受診時に毎年受ける視力検査では、正確な視力をはかることがなかなか上手くできません。
 それでも視力に課題は何も無く、長年仕事をしてこられました。
 ところが5年ほど前から、仕事をする中で視力低下を疑う事象が見受けられるようになり、現在に至るまでの間に徐々に増えてきていました。
 そして先日、通勤で、既に日が暮れて暗くなった中を徒歩で帰宅する途中、道を間違えて家に帰れなくなってしまいました。
支援内容  始めに視力低下があるのではないかと気付いた時点で、ご家族に状況をお伝えして、眼科を受診してもらうようにお話しをしました。
 しかし、ご家族も私たちも、視力低下の原因は近視か老眼であろうと推測をしていました。
 そのため、ご家族からは、眼鏡を作ったとしても、Bさんが身につけて自分で管理することは難しいこと、斜視は矯正ができないこと、のお話しがあり、また、生活面で不自由している点は今のところは無いとのことで、眼科受診は見送られることになりました。
 そこで、仕事に関しては、同僚のフォロー体制をとるなどして、環境調整により支障が出ないようにして仕事を続けていました。
 それでも仕事に支障が出るようになったり、見えにくいために出る行動が見受けられたりしていて、ご家族への連絡はこまめにとっていました。
 しかしその後、社内の健康相談の場で、眼の検査を受けるように医師からの助言があったため、ご家族にお伝えした上で、眼科受診をしてもらうよう、再度お願いをしていました。その調整をしていた矢先に、帰宅する道を間違える出来事があったのでした。
 隣町で見つかり、ご家族が迎えに行かれて怪我なく帰宅できましたが、道に迷った原因に視力低下が関係しているのではないかと思われ、眼科受診をすることになりました。
 受診の結果、白内障があり視力が低下していたことがわかりました。
 手術を受けた後、現在は仕事に復帰して、また笑顔が多く見られるようになりました。
考察  加齢性白内障は、誰でもなる可能性のある眼の病気です。
 視力測定が正確にできれば、視力低下に早い段階で気付くことができて、受診のきっかけになりますが、測定が難しい場合は、本人の様子の変化にまわりが早めに気付いて受診につなげることが必要です。
 知的障害等により視力矯正のための眼鏡をかけることが難しいと思われていた人でも、加齢による白内障の早期発見のため、定期的な眼科受診を薦めることが大事だと思いました。
 そして、何よりも、障害により、体調の変化を自覚したり、伝えたりすることができない人が多いということを、再度しっかりと認識をした上で、日々の支援をしていきたいと考えています。