コスト意識から生まれる「遠慮する気持ち」を転換してもらうための工夫
プロフィール 40歳代男性、知的障害及び上肢障害
説     明  緑化部門で屋外清掃や除草作業などに従事して、約17年になるAさん。幼少期の事故で左前腕の欠損、右手機能不全があり、作業は主に、左手に装着した義手で行います。その義手をとても器用に使い、ほとんどの作業をしっかりとこなしています。
 しかし、そんなAさんにも一つ課題が。それは、義手の上からはめているゴム手袋の破れです。常に一生懸命に作業に取り組んでいるがゆえのことですが、手袋をセットで買っても、左手ばかり破れてしまいます。
支援内容  義手は金属製で先端が細いため、早ければ1週間、長く使えても1ヶ月弱で交換が必要になっていました。当然、新しいものと交換してもらえばよいのですが、Aさんなりにコスト意識があり、自分ばかり交換できないと、破れていても周りの職員に気づかせないように、そのままで使用し続けていました。もちろん破れた手袋ではうまく作業ができず、Aさんの真面目さから悪循環になっていました。


 何とか「手袋を無駄にしている。」「もったいない。」と、後ろ向きな気持ちにならず、毎回すぐに新しいものと交換してもらうには、どうしたらよいのかと考えました。

 同じゴム手袋を使うカン・ビン選別を行うリサイクル部門では、ビンのカケラなど角の尖った細かいものを扱うため、早ければ1日使用すると破れてしまいます。また右手が利き手の職員がほとんどで、左手用ばかりが余り、ある程度たまると処分していました。そこで、リサイクル部門でたまった左手用のゴム手袋を、定期的に譲ってもらうようにしました。はじめに「リサイクル部門では使わないもので、たくさん用意できるものなので、破れても気兼ねなく交換してよい」ことを伝え、周りの職員も、手袋が破れていないか確認をし、破れていたら交換を促すようにしました。
考察  Aさんの以前持っていたコスト意識も大切なことですが、作業をしっかりとした装備で安全に行うことも大切です。今回は偶然両部門の状況がかみ合い、リサイクル部門で不要なものが、緑化部門では有効に活用できています。

 そのことで、破れないように作業するのではなくて、何事にも全力で取り組むAさん本来の姿が見えるようになりました。