出来ることを生かすための作業内容の変更 (加齢に伴う課題の解決)
プロフィール 知的障害(てんかんを伴う) 30代 男性
説     明 リサイクルセンターでカン・ビンの選別を行う職員の事例です。
約16年間、選別作業を行ってきたA職員。近年、加齢に伴い、体力や視力が低下してきており、その結果、作業中の姿勢が前かがみ気味になっています。すると、目で見える範囲が狭くなり、結局、ベルトコンベアを流れる物をうまく捉えられず、それまでしていた作業を行うことが難しくなっていました。
具体的には選別する色の間違い、大きいビンの取り逃しがあり、まず、選別する色の変更(茶色→透明)、次にビンの選別→異物(電池やビンに付いたままのキャップなど)の除去への変更、視力の矯正(メガネをかけてもらう)などを行いました。
しかし、さらに工夫が必要な状況でした。
支援内容 @得意なことを生かした作業
異物の除去作業の中から「ビンに付いたままのキャップを外す」ことだけをしてもらいました。
ベルトコンベアを流れるビンからキャップ付きの物を取るのは横にいる職員が行い、A職員はそのキャップを外し、素材別(アルミ、スチール、プラスティック)に分別を行いました。
この作業だけ?と思われるかもしれませんが、キャップの付いたままのビンは非常に多く、A職員の作業は全体の選別精度の向上につながりました。
異物除去を行う様子
(今までしていた作業)
  左にいる職員がキャップの付いたビンを取り、A職員がキャップを外す様子

A色の判別をしなくても可能なビンの選別
ベルトコンベアを流れるビンを 異物→透明→茶色→その他の色 の順番で選別しています。そこで一番下流のその他の色担当の先頭でA職員に選別を行ってもらいました(仕組み上、そこに流れ着く大きいビンはその他の色のビンです)。
このことにより、A職員より前で選別する職員は「しっかり選別して、A職員がその他の色のビンだけ取れるようにしないと。」と、いままでその他の色のビンを選別していた職員は「大きいビンは取ってくれるから、より細かいかけらを取ろう。」と、周りの職員の意識の変化も生みました。
〈その他のビンの選別の様子〉
てんかん発作に対応しやすくするため、両隣に職員を配置し、またA職員のすぐ後ろにはソファーを置いて発作時に備え作業しています。


結果
@、Aの作業は、A職員が得意とし、ミスすることが少ないもので、失敗をおそれていた以前とは違い、自信を持って行えるようになり、モチベーションの向上につながっています。
また、その日の体調や態勢によって作業を選択することも出来るようになりました。
さらに、ビンに付いたキャップやその他の色のビンを集中的に選別してもらっていることで、異物を取り除く職員や、その他の色のビンを選別する職員、ひいては、全体の選別精度の向上にもつながっています。

今回の工夫を通じて、出来ないことを出来るようにすることも大切ですが、出来ることを最大限生かしていくことも大切なのだと、あらためて気付かされました。